多様なHCI製品ポートフォリオを取り揃えるDell EMC

近年、にわかに活況を呈しているハイパーコンバージドインフラ(以下、HCI)市場。さまざまなベンダーから次々と新たなHCI製品が発表される中、ユニークな立ち位置にいるのがDell EMCだ。同社は2016年のデルとEMCの統合により発足したが、統合前からそれぞれで独自にHCI製品を開発・提供していた。そのため、統合後は「一部製品の取り扱いを止めるのではないか?」との憶測も一部で流れていたようだが、デル株式会社 インフラストラクチャ・ソリューションズ事業本部 ビジネス開発マネージャ 小野誠氏はこれを明確に否定する。

デル株式会社 インフラストラクチャ・ソリューションズ事業本部 ビジネス開発マネージャ 小野誠氏

「一部では、デルがもともと扱っていたHCI製品『Nutanix』の取り扱いを止めるのではとの憶測も流れましたが、旧EMCが保有していたHCI製品ラインアップとともに、これまで通り提供およびサポートを続行します。むしろ統合によってHCI製品のポートフォリオが拡充し、さらに多様な顧客ニーズに対応できるようになりました」

具体的には、もともとデルが持っていた『XCシリーズ(Nutanix)』と、EMCが持っていた『VxRail』『VxRack』を中心に、顧客ごとの要件に最も適したHCIソリューションを柔軟に提供できるようになったという。ちなみにNutanixは、米Nutanix社によって開発・提供されるHCIアプライアンス製品で、市場シェアNo.1を誇る。Dell EMCでは、このNutanixのSDSソフトウェアのOEM提供を受け、同社のハードウェアと組み合わせたXCシリーズを共同開発・提供している。

一方のVxRailは、米ヴイエムウェア社が開発・提供するSDSソフトウェア「vSAN」を用いて、旧EMCが開発・提供してきたHCIアプライアンス製品。2016年3月にリリースされたばかりながら、早くもNutanixに次ぐシェアを獲得している。

またVxRackは、vSANだけでなく、汎用IAサーバを仮想SANストレージとして使えるようにできるSDSソフトウェア「ScaleIO」も選択可能なHCI製品で、より大規模なシステム向けの「ラックスケール製品」と位置付けられている。

複数の選択肢の中からニーズに合致したものを選択可能

これだけ多様なHCI製品ラインアップをそろえるベンダーは今のところDell EMC以外にないが、多様なラインアップ故に「どの製品を選べばいいのか分からない」という悩みも生じるかもしれない。しかしEMCジャパン株式会社 コンバージドプラットフォーム&ソリューション事業部 vArchitect シニアマネージャー 三邉祥一氏は、「製品選定の基準は、極めてシンプル」と述べる。

EMCジャパン株式会社 コンバージドプラットフォーム&ソリューション事業部 vArchitect シニアマネージャー 三邉祥一氏

「仮想化ハイパーバイザーとしてヴイエムウェア製品を使うのか、あるいはそれ以外のベンダーのハイパーバイザーを使うのか。これが1つ目の選定ポイントです。そして2つ目のポイントが、スモールスタートできるアプライアンス製品を選ぶのか、それとも当初からある程度以上の規模を見込んだラックスケール製品を選ぶのかという基準です」

この2つの選定ポイントの組み合わせによって、4種類あるHCI製品の中から適切なものを選ぶことができるという。具体的には、仮想化ハイパーバイザーとしてヴイエムウェア製品を使い、かつアプライアンス製品を選ぶのであれば自ずとVxRailが選択肢になり、ラックスケール製品となればVxRack SDDCを選ぶことになる。

一方、ハイパーバイザーとしてマイクロソフトのHyper-Vや、LinuxベースのKVMなど、ヴイエムウェア製品以外のものを使いたい場合は、マルチハイパーバイザーに対応したアプライアンス製品であるXCシリーズ(Nutanix)か、あるいはラックスケール製品の方が望ましい場合はSDSソフトウェアにScaleIOを搭載したVxRack FLEXが該当する。なおXCシリーズ(Nutanix)は、無償で提供されるKVMベースの「アクロポリス ハイパーバイザー」を搭載可能で、実際にこの組合せによる導入も増えてきている。

これらの選択肢に加え、従来の「サーバ・SAN・共有ストレージ」の3層アーキテクチャで構成されるコンバージドインフラ(CI)製品「Dell EMC VxBlock System」や、ヴイエムウェア推奨ハードウェアとvSANを自由に組み合わせて構成できる「Dell EMC vSAN Ready Nodes」など、極めて広範なソリューションの中からニーズに合致したものを選択、あるいは、複数のプロダクトを組み合わせられるのがDell EMCの強みだと三邉氏は力説する。

「例えば米国のサンディエゴ大学では、VxBlockとVxRailを組み合わせて、AWSと同コストで4倍のシステムが稼働可能なインフラを構築することに成功しました。この事例からも分かる通り、Dell EMCはHCIだけでなく、CIを含めたさまざまな製品を組み合わせたソリューションを提供できます」

オールフラッシュやエンタープライズクラスのデータ保護にも対応

ちなみに他社製品と比較した場合、Dell EMCのHCI製品はさまざまな面で先を行っているという。一例を挙げれば、XCシリーズとVxRailは、高いグラフィックス性能を要求されるアプリケーションでは必須のGPUをサポートしているが、他社の多くの製品は対応していない。

また、データ格納領域をすべてフラッシュディスクで構成する「オールフラッシュ」に早くから対応している点も、Dell EMC製品の大きな特徴だと小野氏は述べる。

「Dell EMCは、オールフラッシュストレージ市場でシェアNo.1を誇る『XtremIO』を開発・提供するほか、今までのオールフラッシュストレージよりはるかに高い性能を発揮する『DSSD D5』を開発するなど、常にこの分野をリードしてきました。そんなDell EMCが、より多くのお客様にオールフラッシュを身近に感じていただける『お手軽オールフラッシュ』として提供しているのが、XCシリーズやVxRailに代表されるHCI製品なのです」

さらにVxRailには、Dell EMCがこれまで長年に渡るストレージビジネスの中で培ってきたデータ保護ソリューションのさまざまなエッセンスが詰め込まれているという。例えば、ヴイエムウェア仮想化環境における災害対策を効率的に実現する「EMC RecoverPoint for VMs」がデフォルトでバンドルされているほか、「vSphere Replication」による災害対策や「vSphere Data Protection」を使ったバックアップもデフォルトで可能になっている。

このあたりにも、長年エンタープライズストレージ市場をリードしてきたDell EMCならではの特徴がよく表れているといえよう。

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