ビジネスの展開スピードが高まり、ITインフラの構築や拡張もこれまでとは次元の異なる対応スピードが求められている。この問題を解決する注目のITインフラ製品とは?

従来型のITインフラ調達・運用が迎える限界

 ビジネスにおいてITが占める重要度が増す一方で、ビジネス環境の変化スピードも年々早くなるばかり。つまり企業ITには、ビジネス環境の変化に素早く追随できる「アジリティ(俊敏性)」が求められるようになってきた。しかし、ややもするとITの俊敏性や機動性の足を引っ張りがちなのが、ITインフラだ。

 多くの企業のITインフラでは、サーバとストレージが互いに複雑に絡み合っており、おいそれと手を加えることができない。ちょっとキャパシティーを拡張したり、構成を変更したりするだけでも、どこかにボトルネックが発生しないか、既存システムに悪影響を及ぼさないか、長期間かけて慎重に設計・評価した上で変更を加える必要があった。


伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の阿部健児氏

 しかしビジネスサイドは、全く異なるスピード感でビジネスを遂行している。システムインテグレーター(SIer)として大手企業のITインフラの構築・運用に長らく携わってきた伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の情報通信事業企画室 クラウドソリューション企画部 ソリューション企画第2課 主任 阿部健児氏は、近年顧客から寄せられる要望について、「とにかく事業変化のスピードが速い。来月には新たなサービスを立ち上げたいので仮想化基盤を増強したい、パフォーマンスの課題には、すぐにでも対応して欲しいといった具合だ。そのたびにお客さまと弊社の各担当者(サーバ、ストレージ、ネットワーク)を全員集めて検討していては、とてもお客さまが求めるスピード感に応えられない」と明かす。

 阿部氏によれば、特に仮想デスクトップインフラ(VDI)環境などユーザーの日々の業務を直接支えるシステムのパフォーマンス低下は、生産性に直結するだけに緊急対応が必要になるが、ストレージの性能がボトルネックになっている場合、タイムリーに対応することがなかなか難しいという。デル ストレージビジネス本部 ストレージアーキテクト 近藤 暁氏も、この点について次のように述べる。

 「サーバを導入する際のサイジングで、最も難しいのはストレージ性能の見積もり。CPUやメモリは搭載する分だけキャパシティーも増えていくが、IOPSをはじめとしたストレージのパフォーマンスを、ピーク値を見極めた上で適切に見積もるのは極めて難しい。特にVDI環境では、『ブートストーム』のように、ストレージアクセスが集中した際のパフォーマンス劣化が発生しやすいだけに、この点に留意する必要がある」

信頼のハイパーコンバージドインフラ製品「XCシリーズ」

 サーバとストレージを、それぞれ時間を掛けて慎重にサイジングし構築、厳格な運用を図ることが当たり前となった今日のITインフラにおいて、こうした課題を根本的に解決するのは極めて困難だとされてきた。しかし、これを一気に解決する可能性を秘めた技術として、現在大きな期待を寄せられているのが「ハイパーコンバージドインフラ」と呼ばれる製品群だ。

 これまでも、サーバとストレージ、さらにはミドルウェア類を一体にして提供する「コンバージドインフラ」という製品は存在した。しかしハイパーコンバージドインフラは、単にハードウェア、ソフトウェアを一体にして提供するだけでなく、CPU、メモリ、ディスクをひとまとめにした小型のサーバノードを複数組み合わせることでシステムを構成する。

 コンバージドインフラとの大きな違いは、独自のストレージ仮想化ソフトウェアと分散ファイルシステムを搭載し、各サーバノードの搭載ディスクを単一のストレージプールに束ねて管理できる点だ。この仕組みがあるため、サーバノードを追加するだけでディスクの容量もI/O性能もリニアに拡張できる。

 阿部氏によれば、この柔軟かつ確実な拡張性が、近年の顧客ニーズのスピード感に応えるために極めて有効なのだという。

 「システム構築時、お客さまからよく『まずはスモールスタートで始めたい』という要望をいただくが、従来の3階層のアーキテクチャだと、小さく始めても、ビジネスの拡大が予想より速いと、すぐにシステムの一部分の機器がパフォーマンス限界に到達することになり、結果として、最適な投資であったとはいえなくなるケースが散見される。しかしハイパーコンバージドインフラであれば、最初の投資を無駄にすることなくシステムを拡張していけるアーキテクチャなので、自信を持ってお客さまに『スモールスタートできます』と提案できる。もちろん、実際に拡張する際もサーバノードを追加するだけなので、ビジネスニーズに素早く応えるシステム拡張が可能になる」


Dell XC Webスケールコンバージドアプライアンス 1U1Nodeモデル Dell XC630



デルの近藤 暁氏

 なお、CTCが顧客に提供するハイパーコンバージドインフラ製品の1つに、デルの「XCシリーズ」がある。これは、デルのベストセラーサーバ製品「PowerEdge」に、ハイパーコンバージドインフラ製品のデファクトスタンダードであるNutanixのソフトウェアを搭載したものだ。サーバ製品のトップベンダーと、ハイパーコンバージドインフラ製品のトップベンダーがタッグを組んで実現した製品だけに、その信頼性は折り紙つきだと近藤氏は胸を張る。

 「デルのサポートは、メーカー保守として長期に当たる最大6~7年をも提供できることなどをご評価いただいている。PowerEdgeはデルのサーバ製品の中核を占めるため、障害発生時にはグローバルの知見を集結し、その根本原因の解析を含めた最高品質のサポートを提供できる。最上位のサポートメニューの場合は、お客さまに専任のサポート担当者がつき、障害解決まで責任を持って対応する。また、デルのグローバルコマンドセンターでサポート状況をリアルタイムに監視・追跡しているので、日本国内のどこであってもお客さま先にあと何分で到着できるかを把握できるなど、きめ細かいサポートを提供できる。デルに対して、クライアントPC中心のメーカーとのイメージを持たれるお客さまも多くいらっしゃるが、サーバ、ストレージ、クライアント端末、ネットワーク機器など、これら全てをワンストップでサポートできるのが大きな強みだ」


仮想化基盤をシンプルにするDell XCシリーズ《クリックで拡大》

 また阿部氏によれば、ハイパーコンバージド製品のことを知らない顧客に新たに提案する際、デルのブランド力が生きてくるという。

 「新興ベンダーの製品には二の足を踏む保守的なお客さまでも、デルという世界的な大手ベンダーの製品であれば、安心感を持っていただける。また、デルのXCシリーズでは、いち早くシャシータイプだけでなく1Uサーバタイプもラインアップしているので、シャシータイプの製品を敬遠するお客さまにも最適な提案ができる。こうしたデルの思想はお客さま志向であり、幅広い製品ラインアップにつながっていると考えられる」

ワンストップのソリューションを提供するCTC

 これまで紹介してきた通り、ハイパーコンバージドインフラ製品はITインフラに必要なあらゆるハードウェア、ソフトウェアコンポーネントをオールインワンで備えた製品であり、従来の3階層アーキテクチャに比べはるかに簡単に導入・拡張することができる。

 とはいえ、全く手が掛からないわけでもない。近年ではVDI用途だけでなくサーバ仮想化基盤として導入するケースも増えており、ますます高い信頼性が求められるようになってきた。この点において、CTCのように大企業のITインフラ構築・運用に高い実績を持つSIerの存在価値は、ハイパーコンバージドインフラにおいても大いに生きてくると阿部氏は言う。

 「ハイパーコンバージド製品を導入するためには、既存システムのサーバとストレージ、ネットワークの全てについて知っている必要がある。その点CTCは、多くのお客さまのシステムにおいて、サーバ、ストレージ、ネットワークを全てワンストップで扱ってきたため、安心してハイパーコンバージドインフラ製品を導入していただけると自負している」

 またCTCはインフラだけでなく、その上位のアプリケーションに関しても豊富なシステム構築実績を持つため、インフラからアプリケーションまでを含めた全てのレイヤーに渡ってワンストップのソリューションを提供できる点が大きな強みだと阿部氏は力説する。

 近藤氏も、製品ベンダーとしての立場から「高い技術力を持ち、多くの大手企業のシステムを支えてきた長い実績を持つCTCとタッグを組むことで、より多くのお客さまにXCシリーズの価値を知っていただけると信じている」と、CTCとの密接なパートナーシップの意義を強調する。

 とはいえ、従来のITインフラ構築・運用から新たなビジネスへ歩みだすことには、どうしても不安が付きまとうものだ。そこでデルとCTCでは、XCシリーズのPoC(概念実証)サービスを提供しているという。XCシリーズの性能や使い勝手を実際に体感してみたいという顧客に対して、評価用の検証機を提供し、実際に顧客の環境上で効果のほどを実証してもらうのだという。

 現在このPoCサービスは引く手あまたで、検証機の数が慢性的に不足しているほどだという。多くの企業がハイパーコンバージドインフラの導入メリットに注目し、その導入を検討している証左だといえよう。本稿を読んで興味を持たれた方は、これを機にハイパーコンバージドインフラの導入効果のほどを自分の目で直接確かめてみてはいかがだろうか。