データベース(DB)の即応性実現で注目したいのがフラッシュドライブだ。しかし、費用対効果を慎重に見極めなければならない。なぜなら、オールフラッシュでなくても高い性能を発揮する方法があるからだ。

DBを高速化する方法は幾つかある

検討すべきポイント

  • ストレージ性能高速化のためHDDをSSDに置き換えるのは費用対効果が低い?
  • 高まるアプリケーションの高速化ニーズと肥大するデータベース(DB)の費用とライセンスは?

 あらゆるITシステムにおいて、アプリケーションの高速化ニーズは常に大きな課題だ。扱うデータは増え、処理は複雑化し、一方で、ユーザー側はより高いパフォーマンスを求める。IT部門としては常に最適化を検討しなければならない課題だ。

 そうした中で常にパフォーマンスを高める場合、安易に考えるとサーバを構成するシステム増強が近道だ。しかしながら、そのためには多額の追加費用が必要となるため、そう簡単に実行できるものではない。まずはシステムに隠れているボトルネックを見つけ出し、そこを改善することでパフォーマンスを高めるのが自然だろう。

 そのような観点でシステムをチェックした場合、近年のサーバにおける性能向上や仮想化技術の向上によって、ボトルネックはむしろDBにある。特にDBシステムに搭載するCPUの性能やシステムメモリ容量の不足などで、I/O(入出力)やストレージが性能不足にあることが多い。そうなると、サーバを増強するより、I/Oやストレージ性能を改善することで高いパフォーマンス向上が期待できる。

DBがボトルネック
アプリケーションの高速化には、ボトルネックの抽出が必要。調べてみると、DBがボトルネックとなっているケースは多い《クリックで拡大》

DBを変更することなくSSDを導入するには

 こうしたDBのI/Oやストレージ性能の高速化を考える場合、HDDをSSDに置き換えればよいと考えがちだが、実際にはその費用対効果は低い。むしろデータを適材適所へと導き、効率的に処理を行えるようにハードウェア全体のバランスを調整する必要がある。

 そこでデルが取り組んだのは、従来型DBシステムの構成を変えずに、「アドオン」という形でSSDのメリットを導入する方法だ。従来のHDDも生かし、キャッシングによってデータ別の自動階層化を行い、ストレージの能力を高めることも目指している。

 このようなアプローチに対して、デルはさまざまな可能性を模索してきた。その2つのソリューションについて紹介しよう。

アプローチその1:サーバローカルストレージとDASの性能を向上する

 デルは新世代PCI Express対応 SSDで利用できる規格のNVMeに早期から着目し、2014年にはNVMe対応のサーバをリリースした。また、容量が大きく安価で、その代わりに性能はやや落ちるもののHDDに比べて速いという「TLC」対応ストレージを2015年9月に採用するなど、SSDの先端技術に早い段階で取り組んできた。そのデルが提供している新規ソリューションの1つがSanDiskと連携して開発した「SanDisk® DAS Cache」だ。

 SanDisk® DAS Cacheは、デルのDell PowerEdgeサーバ専用に開発したサーバレベルキャッシングソフトウェアだ。OSにインストールしてキャッシュ領域を指定するだけでSSDの切り分けを行い、ストレージを階層化する。

 ファイルサーバ内のSSDをキャッシュとして使用することで、高速で処理すべきものはSSDを活用し、高速化を求めないものについてはHDDに蓄積する。その結果、データベースのパフォーマンスを飛躍的に高め、例えば、「PowerEdge R730xd」に OSとしてWindows Serverを搭載しSQL Serverを導入したOLTP(Online Transaction Processing)環境では、全ワークロードの約3割をキャッシュした場合のパフォーマンスが11倍。全ワークロードをキャッシュ対応すれば、約38倍もの性能向上が期待できるという。

SanDisk DAS Cache
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アプローチその2:データベースの性能を短期間でコスト効率よく大幅に向上

 もう1つの取り組みが、SanDiskのソフトウェア「SanDisk IoN AcceleratorTM」をPowerEdgeサーバに搭載したソリューションだ。アプライアンスの「Dell Acceleration Appliance for Databases」(DAAD)として提供している。メーカーに依存せず、OracleやSQL Server、DB2などのデータベース環境にアドオンで加えるだけで、DBが高速化できるという。

  OracleやSQL Server、DB2などのデータベースサーバの拡張にはライセンスの追加が発生し、その費用もかなり大きいものになる。しかし、DAADなら通常の外付けディスクの拡張のようなイメージでシステムに追加するだけで済む。それでデータの切り分けと格納を行い、SSDのメリットを享受できるので既存リソースを活用しながらパフォーマンスの改善ができる。

 その結果、最大容量25.6TB、最大200万 IOPSを超え、トランザクション処理は5倍、レイテンシの低下は93%と軽減するなど、飛躍的なパフォーマンス向上が期待できるとデルは説明している。

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Dell Acceleration Appliance for Databases」(DAAD)の使用例。既存のStorage Area Network(SAN)環境に追加して拡張できる